●手水や玉串奉奠の用具を整える
仏式の通夜にあたる儀式を神道では「通夜祭」と言いますが,通夜祭に引き続いて,いわゆる御霊移しと言われる「遷霊祭」が行われます。
神道では通夜や葬儀は神社では行わず,自宅あるいはほかに会場を借りて営まれます。通夜や葬儀を司る神職を「斎主」と呼び,この役はふつう氏神である神社の神主が行います。実際には葬儀社に手配を頼むこともあるようです。祭壇には食物をお供えしますが,故人の好きだった食物を用意するとよいでしょう。これは斎主が持参することがありますから,確認しておきます。
「会葬御礼」の書状を受付に用意するのは,仏式と変わりません。清めの塩は,儀式のなかで斎主のお祓いがありますから書状には添えません。
儀式の前に手と口を清めるためのひしゃくと水を入れた桶,手やロをぬぐう懐紙は,受付あるいは斎場の入ロに置いておきます。
また玉串は弔問客全員にいきわたるように多めに用意しておくとよいでしょう。ただ大勢の弔問客が予想される場合は,玉串奉奠は遺族のみが行い,残った人は拝礼だけにすることもあります。
●通夜ぶるまいは一時間くらいで切り上げる
神道の通夜ぶるまいは,「直会(なおらい)」とも言われ,弔問に対するお礼の意味が込められています。膳には酒が用意されていますが,これは「お清め」のひとつですから,口をつけるようにします。
直会では,仏教のように生ぐさいものにこだわりませんから,メニューは自由です。ただ神道では,死とのかかわりを避けますので,喪家で調理したものは出しません。今日では仕出し屋に頼んだり,あるいは通夜ぶるまいを省略する傾向にあります。
直会の席は一時間くらいで切り上げるようにし,酒も形式的なものですから,全員に一杯ずつ行き渡るようにしておく程度でよいでしょう。
●斎主には「お膳料」として金包みを手渡す
斎主が到着したら控え室に案内し,茶菓でもてなします。喪主と世話役代表が挨拶するとともに,式の進行について最終の確認をしておきます。
通夜祭・遷霊祭が終わったあとは,再び控え室に斎主を案内し,茶菓をふるまいます。
通夜ぶるまいを用意しているときは,控え室で召し上がってもらうようにします。斎主が通夜ぶるまいを辞退したときは「お膳料」と表書きした金包みを「お車代」とともに手渡します。お礼の額は仏式と同様にお膳料として五千〜一万円,お車代に五千円程度が目安です。
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●会場に入る前に手水を行う
参列者は,会場に入る前に左手,右手の順に手に水をかけて清め,最後に左手に水をとってロをすすぎます。手水のやり方はイラストを参考にしてください。ひしゃくの正式な使い方は,ひしゃくに汲んだ水は三回に分けて使うのですが,ひしゃくが小さい場合は,その都度水をくみます。
●遷霊祭に移って喪主から玉串を供える
神式では,まず通夜祭があり,続いて遷霊祭が行われます。通夜祭では,斎主が献饌(お供物を神前に供えること)を行い,祭詞,誄詞が奏上されますが,この間,参列者は静かに聴いています。誄詞のあと,斎主にならって参列者は拝礼し,通夜は終了になります。
引き続いて遷霊祭に移るわけですが,これは,故人の霊魂を遺体から霊璽と言われる白木で作られた仏教での位牌にあたるものに移らせる儀式です。
斎主が拝礼した後,部屋の明かりが消され,神事は暗やみのなかで行われます。霊璽を仮霊舎に納めると斎主の合図で明かりがつけられ,再び斎主の献饌が行われます。このあと,斎主に続いて,喪主,遺族,一般参列者と玉串の奉奠が行われます。
●手水の儀のしかた
@柄杓で水をすくい,左手に三度かけます。必ず左手から洗います。
A柄杓を左手に持ち替え,右手に三度水をかけます。
B柄杓ですくった水を左に受けて,口をすすぎます。
C懐紙で,ロや手をふきます。懐紙がなかったらハンカチを用いてもかまいません。
●偲び手
弔事の拍手は,偲び手といい,音をたてません。両手が打ち合わされる寸前に手を止めます。手は口のあたりまで上げて行います。
●神前に向かって二拝二拍手一拝。柏手は偲び手で
神官から渡される玉串は,右手で根元を上からもち,左手で葉先を下から支えます。祭壇の前に進み,一礼して玉串案の前に移ります。
玉串を持つ左手を根元に,右手を葉先に持ち替えながら,右方向に回転させ,根元が神前に向くようにして玉串案に捧げます。このあと,二礼し,身体の正面で両手を合わせ,音をたてないで二回拍手します。これを偲び手と言い,弔事の際の柏手の方法です。拍手のあと一礼し,席に戻ります。
●玉串奉奠のしかた
@葉先を左にして受け取る。
Aたてに持ち替える。
B時計方向に回す。
C葉先を手前にして捧げる。 |